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子宮体癌に対するホルモン療法の現状と問題点【日本人報告例の68%で完全寛解。ただし,適応・予後などが未解明のため慎重を要する】

No.4860 (2017年06月17日発行) P.58

板持広明 (岩手医科大学産婦人科学講座教授)

横山良仁 (弘前大学医学部産科婦人科学教室教授)

登録日: 2017-06-14

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  • 子宮体癌に対するホルモン療法の現状と問題点について,弘前大学・横山良仁先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    板持広明 岩手医科大学産婦人科学講座教授


    【回答】

    子宮体癌に対するホルモン療法は,高分化の類内膜腺癌であり,MRIで筋層浸潤がなく,妊娠を強く望んでいる患者に限定して行われます。具体的には,メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate:MPA)を1日600mg 6カ月間経口投与します(高用量黄体ホルモン療法)。治療効果は,日本人での報告例を集計すると148例中101例,68%で完全寛解となっています。逆に言うと約30%でがんの消失には至りませんでした。また,完全寛解に至っても約半数の症例でがんの再発が起こっています。

    この治療は,妊娠を強く望んでいる患者に行われることから,病変消失後は早期に不妊治療を行い,妊娠をめざすことが妥当と思われます。若年者の子宮体癌症例は排卵障害を伴うことが多いため,クロミフェンやゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)での排卵誘発や体外受精-胚移植による早期介入が必要と思われます。実際,Ushijimaらが行った類内膜腺癌に対する高用量黄体ホルモン療法の国内の臨床試験では,治療後に妊娠した11例中10例において体外受精を含む何らかの不妊治療が行われていました1)

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