【質問者】
谷村 悟 富山県立中央病院産婦人科部長
【慢性子宮内膜炎の診断治療における外来細径硬性子宮鏡の役割】
慢性子宮内膜炎(chronic endometritis:CE)は,生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)を反復して行っても着床しないrepeated implantation failure(RIF)の原因のひとつとして最近注目されています。CEには抗菌薬が有効であり,治癒後の着床率は改善すると言われています。CEは,形質細胞のマーカーであるCD138の免疫染色にて子宮内膜間質への形質細胞浸潤を検出することにより診断されます。
当科における2回以上の胚移植不成功101症例において,CD138の免疫染色により診断したCEは46%でした。子宮鏡下切除生検および抗菌薬投与による治癒率は78%と高く,2nd look子宮鏡が改善・正常化した症例の9割は形質細胞数が減少しており,CEの経過観察にも子宮鏡は有用と考えています。治癒後のART着床率は44%であり,妊娠例の7割は胚移植2回以内に妊娠成立していました。
残り811文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する