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生殖補助医療に関する遺伝カウンセリングの実際と問題点は?

No.4965 (2019年06月22日発行) P.53

野見山真理 (高木病院産婦人科部長)

小川昌宣 (九州大学環境発達医学研究センター)

登録日: 2019-06-20

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  • 生殖補助医療に関する遺伝カウンセリングの実際と問題点を,臨床遺伝専門医の立場からご教示下さい。九州大学・小川昌宣先生にお願いします。

    【質問者】

    野見山真理 高木病院産婦人科部長


    【回答】

    【めざましい技術の進歩と果てしない人間の欲望との間に横たわる葛藤と向き合う】

    遺伝カウンセリング(genetic counseling:GC)の対象は施設ごとに異なり,経験にも差があります。この答えは,あくまでも筆者個人の,一施設における狭い経験に基づく話としてご了解下さい。

    前任地の九州医療センターでは,16年間で延べ1500例ほどのGCを経験しました。多くは出生前診断に関するものでしたが,妊娠前の生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)に関わるGCも100例ほど経験しました。不妊治療の過程で行った染色体検査で異常を指摘されての紹介が最も多く,ついで不育症の原因精査(流産物染色体検査を含む),遺伝性疾患の着床前診断希望でした。提供卵子による妊娠についての相談もみられます。

    普段ARTに関わらない人にとって,ARTはブラックボックスで,検査や技術は特殊で馴染みがなく,また新しい技術が次々と生まれていて,ついていくのに一苦労です。施設ごとの診療方針も異なっており,紹介を受ける際にどのようなスタンスで対応したらよいか悩ましく感じます。治療方針に踏み込んだ話になることも多いのですが,どこまで「通じる」のかな? と心配します。これらの問題は,ART施設で認定遺伝カウンセラーが雇用され,独自にGCが行われるようになると,大半は解決することかと思います。

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