【質問者】
中嶋 蘭 京都大学大学院医学研究科臨床免疫学
【多彩な治療の選択肢を持つ漢方は,現代医学の補完的役割を果たす】
しばしば漢方外来には,免疫抑制療法を代替する治療を期待して来院する患者がいますが,そもそも漢方医学は免疫学とは異なる基盤に立脚する医療体系であることから,免疫抑制療法をそのまま代替することはないと考えます。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に代表される重要臓器を冒す自己免疫疾患では,免疫抑制によって生命予後が改善することが確実なデータで裏付けられており,あくまで現代医学的な治療が主力であり,漢方治療は通常,補完的な役割を担うことになります。
具体的には,以下の場合などで漢方が使われる機会があると思われます。
①ステロイドなどの副作用に対する対策としての治療。
②シェーグレン症候群の乾燥症状や強皮症のレイノー症状など,強力な免疫抑制薬の使用が不適当なケースに対する治療。
③現代医学的治療が一応奏効し,炎症マーカーや局所の所見が改善しているにもかかわらず,疼痛など患者の自覚的症状が改善しない場合の治療。
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