卵巣癌の治療は手術療法と化学療法が2本柱であり,放射線療法に関してはガイドラインでも症状緩和など,palliative治療としての記載に限られている。化学療法は,多くのエビデンスの蓄積により卵巣癌治療の中心的存在になっているが,明細胞腺癌や粘液性腺癌には奏効せず,また,再発卵巣癌は抵抗性を獲得するため,多くの効果は望めない。
筆者らは再発卵巣癌,特に再発が照射野内に限局した症例に対して,放射線療法も選択肢のひとつにしている。後方視的な検討ではあるが,放射線照射によって66%の奏効率を認めており,無増悪生存期間(PFS)も10カ月と,良好な成績が得られている(文献1)。特に,骨盤内に限局する再発症例では長期のPFSが得られ,かつ重篤な毒性もほとんど認められていない(文献1)。また,抗癌剤抵抗性の明細胞腺癌,粘液性腺癌に対しても同等の効果が確認されている。Brownら(文献2)も限局性の再発卵巣癌症例に放射線治療を行ったところ,化学療法よりも長期のPFSが得られたと報告している。
化学療法抵抗性である再発卵巣癌に対しては,特に再発部位が限局している症例において,放射線治療も選択肢のひとつとすべきであろう。今後の前方視的な比較試験による検証が望まれる。
1) Machida S, et al:Oncology. 2014;86(4):232-8.
2) Brown AP, et al:Gynecol Oncol. 2013;130(2): 300-5.