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LEP製剤の上市

No.4762 (2015年08月01日発行) P.63

篠原康一 (愛知医科大学産科・婦人科准教授)

登録日: 2015-08-01

最終更新日: 2016-10-26

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月経困難症に対して,これまではOC(経口避妊薬)製剤が“副効用”への期待から自費で処方されていたが,LEP(低用量エストロゲン─プロゲスチン)製剤が上市されたことは画期的であった。
医療経済的にもGnRHa(gonadotropin releasing hormone agonists)やジエノゲストよりも安価であるため,OC/LEPが市民権を得て処方が拡大した。しかし,予期せぬ血栓症による死亡症例が報道されたことは,非常にショッキングな出来事であった。「低用量経口避妊薬,低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン」も,この点に注目しつつ,現在,改訂が行われている。
これらの静脈血栓塞栓症(VTE)は,OC/LEPのクラスエフェクトであり,製剤の種類に依存しない。また,肥満は肺塞栓症のリスク因子であるとされている。OC服用による心筋梗塞の可能性は高齢になるほど高まるが,黄体ホルモンの種類は関係ない。
改訂ガイドラインには,安全な処方のために初回投与の3カ月間は1カ月ごとに受診してもらうこと,慎重な問診やVTEを疑った場合のアルゴリズム,万一発症した場合の対応や,Dダイマーの解釈についても盛り込まれる。また,チェックシートを充実させ,既往歴を含めた問診で,慎重投与症例を発見できるように留意した形式となっている。
血栓症の報道で一時,OC/LEP離れがあったかもしれないが,HRTにおけるWHIショックからの回復のように,揺り戻しを期待したい。

【参考】

▼ Dinger J, et al:Contraception. 2014;89(4):253-63.

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