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子宮頸癌治療における分子標的治療の位置づけ 【TP+Bmabが第一選択であり,TC+Bmabも第一選択と考えてよい】

No.4843 (2017年02月18日発行) P.61

青木大輔 (慶應義塾大学産婦人科教授)

喜多川 亮 (東北医科薬科大学医学部産婦人科学)

登録日: 2017-02-16

最終更新日: 2017-02-14

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  • 最近,子宮頸癌に対して血管新生阻害薬のベバシズマブ(bevacizumab:Bmab)が承認されました。その使い方と注意点,Bmabの導入に伴って標準的化学療法はどのようになるのか教えて下さい。
    東北医科薬科大学・喜多川 亮先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    青木大輔 慶應義塾大学産婦人科教授


    【回答】

    子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)への感染を契機に発症しますが,進行の過程において感染した細胞では血管新生因子が過剰に発現することがわかっていました。そこでBmabのような血管新生阻害薬が注目されるようになり,臨床第Ⅲ相試験(GOG240)では,従来の化学療法に追加することで全生存期間を有意に3.7カ月延長するという結果が示されました1)

    以下,(1)Bmabはどのような症例に使用し,何を注意すべきか,(2)Bmabの導入に伴って子宮頸癌の標準的化学療法はどのようになるか,の2点にわけて回答させて頂きます。

    (1)Bmabはどのような症例に使用し,何を注意すべきか
    GOG240の結果では,有害事象も注視すべき点です。Bmabの投与に際し,高血圧や蛋白尿に注意していくことは他の癌腫と同様ですが,最も憂慮すべきは,①血栓塞栓症,②消化管や尿路系の出血,および③消化管・尿路系と腟との瘻孔形成です。①は既にコントロールされていれば,Bmab投与には支障がないと考えます。②,③の有害事象は,骨盤照射の既往を有する再発例のみに認められています。Bmabの投与対象となるのは全生存期間の中央値が1~1.5年の予後不良例であり,QOLを著しく低下させる有害事象には注意を要します。よって投与対象から除くべきであるのは,消化管や尿路系および腟に浸潤している再発病巣を有し,それらに照射の既往がある症例と考えます。また,イレウスの既往を有する症例も消化管穿孔の懸念から注意が必要です。

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