近年,周産期のメンタルヘルスは大きなトピックとなった。2016年には児童福祉法が改正され,養育者のメンタルヘルスケアの重要性が指摘された。2017年からわが国の妊産婦死亡統計に自殺が加えられた。さらに,同年からはエジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale:EPDS)を用いた産婦健康診査(産後2週間,産後1カ月)も開始された。2018年度診療報酬改定においても整備が急速に進んできた。確かに,妊産婦の自殺は衝撃的事象ではあるが,なぜこれほど急速に対策がなされるようになったかと言うと,子育て支援に直接関わるからだと思われる。少子化が進行する中で,児童虐待のみならず,子育て支援が大きな社会問題ととらえられているからではないだろうか。本特集では現時点のわが国のuptodateをご紹介頂く。
1 周産期メンタルヘルスの現状と早期発見のためのスクリーニングツール
清野仁美(兵庫医科大学精神科神経科学講座講師)
2 周産期の薬物療法,精神療法
菊地紗耶(東北大学病院精神科外来医長)
小林奈津子(東北大学病院精神科)
本多奈美(東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野)
3 支援のための取り組みの実際(大阪母子医療センターを例に)
岡本陽子(大阪府立病院機構大阪母子医療センター産科副部長)
和田聡子(大阪府立病院機構大阪母子医療センター母性外来師長)
光田信明(大阪府立病院機構大阪母子医療センター副院長/産科)