2005年,Mayo clinicの感染症科へvisiting clinicianとして留学したとき連鎖球菌を深く勉強し,大変複雑で奥が深い領域であることに気づいた。細かい分類学や臨床像の多彩さは,グラム陽性菌の最大の敵,黄色ブドウ球菌のほうがはるかに単純に思えるほどの違いがある。
一方で,日常診療で毎日のように遭遇する感冒症状を呈する患者がいる。このとき必ず確認すべき急性扁桃炎において,A群溶連菌はすべての医師が知るべき基本の菌であり,昨今の薬剤耐性(AMR)対策で抗菌薬適正使用の要になる標的でもある。しかし,この菌は扁桃炎以外にも多彩な臨床症状を呈する。そこで今回は,A群溶連菌を中心に,5つのテーマから連鎖球菌の世界を俯瞰してみようと試みた。
1 外来で考える連鎖球菌─分類学とA群溶連菌の臨床像
山手亮佑(飯塚病院総合診療科)
2 急性咽頭炎におけるA群溶連菌の鑑別診断と治療
冨山周作(飯塚病院総合診療科)
3 A群溶連菌の反復感染とは本当にあるのか?
小杉俊介(飯塚病院総合診療科)
4 意外と知らない溶連菌感染後腎炎
工藤仁隆(飯塚病院総合診療科)
5 稀な合併症─PSReA,PANDAS
鵜木友都(飯塚病院総合診療科)