根本的治療薬がないばかりか,あまり有効な薬剤のない認知症の医療では,「認知症の人が不自由さを抱えながらも,穏やかな在宅生活が続けられること」をアウトカムにすることが望まれる。そして,高齢になるほど非薬物療法が重要度を増す。
本特集では,①医療機関においてリハビリテーション専門職などが行う非薬物療法のエビデンスと具体的方法の解説,②診察室で医師がすべき本人・家族への非薬物療法を精神療法や認知行動療法から解説,③介護資源の利用法として,認知症対応型通所介護(認知症デイ)やショートステイ,初期集中支援チームなどの紹介と介護職との連携の3本の構成とした。どれも,パーソンセンタードケアの実現に寄与する方向で一致している。この特集を日頃の認知症診療に役立てて頂きたい。
1 認知症の非薬物療法のエビデンスとその方法
大沢愛子(国立長寿医療研究センターリハビリテーション科医長/認知行動科学研究室室長)
前島伸一郎(金城大学学長)
2 診察室ですべき認知症の人と家族への非薬物療法
色本 涼(桜ヶ丘記念病院/慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
田村法子(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室/医療安全管理部)
藤澤大介(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室准教授)
3 認知症医療における介護資源の利用法
小谷恵子(認知症介護研究・研修東京センター研修主幹)