わが国における食物アレルギー診療の原則は,アレルゲン食物を除去するだけではなく,「食べられる範囲を見極めて食べる」と表現されている。この原則は,食物経口負荷試験が広く普及して,食物アレルギーの有無だけでなく,その重症度を見極める経験の蓄積に支えられている。
とはいえ,アレルゲン食物を摂取することは常にリスクと背中合わせにあり,適切な指導にはエビデンスに基づいた豊富な知識と経験が求められる。この特集では,臨床の場面でアレルゲン食物を食べる指導をどのように進めるか,経験豊富な3人の筆者が解説する。ただし,今でも研究レベルとされる,重症者に対する「経口免疫療法」には触れていないことにご留意頂きたい。
1 完全除去を回避する少量摂取指導の実際
糸永宇慧(国立病院機構相模原病院小児科)
柳田紀之(国立病院機構相模原病院小児科医長)
2 経口負荷試験を繰り返す段階的解除の実際
楠 隆(滋賀県立小児保健医療センター小児科主任部長/診療局長)
3 定量的なアレルゲン摂取から加工食品への展開
高里良宏(あいち小児保健医療総合センターアレルギー科医長)
伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター副センター長/総合診療科部長)