慢性腎臓病(CKD)にみられる貧血は腎性貧血と呼称されるが,実に多彩な原因から発症する。もちろん,腎でのエリスロポエチン産生が低下することは一因であるが,慢性炎症,鉄利用率低下などの要因も深く関与する。日本透析医学会から2015年版の腎性貧血治療に関するガイドラインが発表されており,腎性貧血の診断,目標ヘモグロビン値,鉄欠乏の判定,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent:ESA)低反応性に関しても新しい考え方が記載されている。この特集では,このような話題に関して識者に解説をお願いした。
1 慢性腎臓病患者の貧血診断とESA投与法
阿部貴弥(岩手医科大学泌尿器科学講座教授)
伊藤明人(岩手医科大学泌尿器科学講座)
2 慢性腎臓病患者の鉄欠乏性貧血診断と鉄剤投与方法
倉賀野隆裕(兵庫医科大学内科学腎・透析科准教授)
中西 健(兵庫医科大学内科学腎・透析科主任教授)
3 ESA低反応性症例の原因と対策
小松嵜 陽(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科)
丸山之雄(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科講師)