在宅高齢者では,誤嚥性肺炎を認めることが少なくない。誤嚥性肺炎で急性期病院に入院すると,「とりあえず安静・禁食・水電解質輸液」で管理されやすい。その結果,入院中に医原性サルコペニアが悪化して,摂食嚥下機能や日常生活活動も悪化しやすい。実際,誤嚥性肺炎で入院中に身体機能が低下した患者は70%,退院時に経口摂取自立していなかった患者は30%もいた。そのため,在宅で誤嚥性肺炎を起こさず入院しないことが,サルコペニア悪化予防のためにも重要である。
誤嚥性肺炎の予防として,口腔のケアは有用である。それに加えて,リハビリテーション栄養の考え方とKTバランスチャートの活用が有用である。これらを誤嚥性肺炎の予防や治療に役立ててほしい。
1 高齢誤嚥性肺炎の現状・症状・危険因子など
百崎 良(帝京大学医学部附属溝口病院リハビリテーション科科長)
2 リハビリテーション栄養による誤嚥性肺炎の予防
前田圭介(愛知医科大学病院緩和ケアセンター・栄養治療支援センター講師)
3 KTバランスチャートによる誤嚥性肺炎の予防
社本 博(南相馬市立総合病院脳神経外科/福島県立医科大学災害医療支援講座)