直腸癌は今後わが国において増えていく悪性腫瘍のひとつであると言われている。直腸癌に対する外科治療は専門家の間でも以前より多くの議論がなされてきたが,癌をいかに治すかという根治性とともに,術後機能をいかに残すのかという機能温存の両極から論じられるべき難易度の高い治療領域である。これらの課題を解決するために近年の医療機器の臨床応用,内視鏡手術技術の進歩,あるいは多方面の治療との連携がいまや積極的に模索されるようになってきた。本特集では,最近の進化の著しい直腸癌手術治療の現状について諸先生方からご執筆を頂いた。どれもがわかりやすく非常に有用な臨床情報を発信して頂いたことを心よりお礼申し上げるとともに,皆様の臨床活動の一助になれば幸いと考えている。
1 直腸癌に対する術前放射線化学療法と機能温存手術の現状
秋吉高志(がん研有明病院消化器センター大腸外科医長)
富永哲郎(がん研有明病院消化器センター大腸外科)
2 直腸癌に対する拡大手術の適応と治療成績
池田正孝*2,木村 慶*1,片岡幸三*1,別府直仁*3,内野 基*4,池内浩基*5, 冨田尚裕*6
(兵庫医科大学外科学講座 *1下部消化管外科 *2臨床教授 *3学内講師 *6主任教授)
(兵庫医科大学外科学講座炎症性腸疾患外科 *4准教授 *5主任教授)
3 直腸癌に対する先進的内視鏡治療─transanal TMEを中心に
長谷川 傑(福岡大学消化器外科教授)
薦野 晃(福岡大学消化器外科)
愛洲尚哉(福岡大学消化器外科)