高齢化社会を迎え,変形性関節症や骨粗鬆症などの運動器の退行変性疾患が増加している。母指手根中手(carpometacarpal joint:CM)関節症も同様である。X線像による病期と症状とが相関しないこともよく経験するし,また自然経過で良くなっていくこともあり,まだ病態,治療とも十分に解明されていない疾患である。今後,ますます増加していくことが予想され,手の機能を障害する本症の病態,診断,保存的治療,手術的治療の最新の考え方を紹介することは意義深いことと考える。
1 母指CM関節症の症状と診断
藤澤幸三(鈴鹿回生病院名誉院長/鈴鹿医療科学大学理事・特任教授)
2 母指CM関節症の保存的治療
麻生邦一(麻生整形外科クリニック院長)
3 母指CM関節症の手術的治療
副島 修(福岡山王病院整形外科部長/国際医療福祉大学教授/福岡大学整形外科臨床教授)