2018年度診療報酬の改定により認知症やせん妄のある患者の重症度,医療・看護必要度がより高く評価されるようになった。同時に,その予防目的としてICU(特定集中治療室)における多職種による早期離床・リハビリテーション医療の取り組みに係る評価も新設された。
今回,「せん妄」の特集を企画した理由は,日常診療で頻繁に遭遇する症候群でありながら,医師の関心が薄く,時に間違った理解をされ,その後遺症に悩まされるケースが多いからである。精神科医の立場から高齢者のせん妄,ICUに収容されるような重症患者に出現するせん妄,そして「医療の質」改善の指標としてせん妄発症率の低下に取り組む看護師を中心とした多職種医療チームのチャレンジの3本を取り上げた。
1 高齢者のせん妄
樋口文宏(山口大学医学部附属病院精神科神経科講師)
中川 伸(山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座教授)
2 ICUのせん妄
布宮 伸(自治医科大学医学部麻酔科学・集中治療医学講座集中治療医学部門教授)
3 せん妄と看護・病院の質(QI)
柳橋礼子(聖路加国際病院副院長/看護部長)
嶽肩美和子(聖路加国際病院QIセンター)