急速な社会の高齢化に対応し,高年齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる環境を整備するため,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が改正され,2013(平成25)年に施行された。65歳までの雇用機会の確保として,60歳以上定年と,定年が65歳未満の場合は,「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を実施することとなった。2018(平成30)年の65歳以上の高齢就業者数は,862万人(過去最多),高齢者における就業率は,男性が33.2%,女性が17.4%と近年継続して増加している(総務省労働力調査)。本特集では,高年齢労働者の安全と健康の確保を現場で展開していく上で,地域で産業保健を担当する先生方に役立つ知識や対応に関する情報を提供することを目的とした。
1高年齢労働者の特徴と雇用をめぐる社会情勢(総論)
森河裕子(金沢医科大学看護学部医科学領域教授)
2 高年齢労働者の安全の確保
能川和浩(千葉大学大学院医学研究院環境労働衛生学講師)
3 高年齢労働者の健康の確保
櫻井 勝(金沢医科大学衛生学准教授)
4 高年齢労働者の転倒,転落・墜落防止を見据えて
神代雅晴(産業医科大学名誉教授)