2014年ごろから典型的な糖尿病性腎症に加え,正常から微量アルブミン尿の状態で推定糸球体濾過量(eGFR)が低下する非典型的な糖尿病関連腎症を含む包括的な疾患概念として,DKDが米国の実地医家を中心に提唱され始め,2017年にはヒトの糖尿病関連腎症の病名としてDKDが広く使われるようになった。そこで日本腎臓学会と日本糖尿病学会は,わが国においてもDKDという概念を普及する必要性があると判断し「糖尿病性腎臓病」という病名を当て,さらに2017年10月22日,“STOP-DKD宣言”を採択し,わが国におけるDKDの実態解明と管理・治療法開発に両学会が協力して取り組むこととなった。本特集では,このDKDという新しい疾患概念が生まれてきた背景と腎臓および糖尿病それぞれの領域における新たなアプローチについて,ご専門の先生方にご解説頂くこととした。
1 糖尿病性腎症(DN)から糖尿病性腎臓病(DKD)へ ─概念の変遷をたどる
林 晃正(大阪急性期・総合医療センター腎臓・高血圧内科主任部長)
2 糖尿病性腎臓病(DKD)の管理・治療戦略 ─腎臓専門医の立場から
倉田 遊,田中哲洋*1,南学正臣*2 (東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科 *1講師 *2教授/診療科長)
3 糖尿病性腎臓病(DKD)の管理・治療戦略 ─糖尿病専門医の立場から
金澤昭雄*1,綿田裕孝*2 (順天堂大学大学院医学研究科代謝・内分泌内科学 *1准教授 *2教授)