連綿たる歴史の中で出産が医療化したのはたかだか200年前,産科医療があまねく普及したのは,医療施設分娩が90%以上となった1970年代以降である。多くの人々にとって,新たな命を無事迎えることはもはや日常であり母と子が出産で命を落とすことを想像もしない。しかし戦国時代,子どもを産むことは戦場の兵と同じリスクとされ,明治時代の日本や今のサハラ沙漠以南のアフリカでは,女性は現在の日本の100倍,妊娠・出産で命を落とす。今日の安全を担保するために産科は静かに,しかし大きく変わってきた。小学校1000クラスが毎年不要になる(毎年3万出生減少)日本社会で妊娠・出産の安心・安全を維持発展させることはもはや民族的課題である。その発展の一端をご紹介したい。
1 妊娠初期における妊婦のリスク評価と具体的対策
遠藤誠之
2 妊娠高血圧症候群の予防と治療
齋藤 滋
3 早産の予防と治療
中井章人
4 胎児疾患に対する外科的治療
左合治彦
5 産後大量出血に対する外科的治療
實森万里子 松崎慎哉 木村 正
コラム トラウベ型聴診器による胎児心拍モニタリング
山口恭平 池田智明
コラム 胎盤機能検査(尿中エストリオール,血中hPL)
生水真紀夫
コラム 骨盤位全牽引術
中井祐一郎