レビー小体型認知症は,日本人が発見し,世界で初めてわが国で開発された薬が保険適用になったというだけでなく,アルツハイマー型認知症についで多い変性性認知症であり国内に100万人近い患者がいると推定されている,認知症医療の極めて重要な治療対象である。特徴的な4つの中核症状と,ほぼ同等に扱われる3つの指標的バイオマーカー(大脳基底核のDAT取り込み低下,MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下,睡眠ポリグラフ検査で筋活動低下を伴わないREM睡眠)が診断基準に組み込まれ,典型例であれば正確な診断ができるようになりつつある。
認知機能障害,精神障害,パーキンソニズム,自律神経障害と症状は多彩であるが,治療標的を理論的に定め,治療戦略を介護者と共有し,治療の優先順位を明確にした薬物療法や科学的なケアを導入すれば,現時点でも十分に症状を緩和し,患者の生活の質(QOL)を維持ないし高めることができる。
1 レビー小体型認知症の病態と診断
森 悦朗(大阪大学大学院連合小児発達学研究科行動神経学・神経精神医学寄附講座教授/ 東北大学名誉教授)
2 レビー小体型認知症の特徴的症状と薬物療法
橋本 衛(大阪大学大学院連合小児発達学研究科行動神経学・神経精神医学寄附講座准教授)
3 レビー小体型認知症の在宅および施設でのケア
眞鍋雄太(神奈川歯科大学附属病院認知症・高齢者総合内科教授)