睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧,慢性炎症,動脈硬化などと関連し,心・脳血管障害,認知症,昼間の眠気,居眠り事故とも関連する。最近では,黒色腫,膵癌,腎癌などの悪性腫瘍との関連も報告されている。SASは多くの疾患の背後で,悪化因子として働き,肥満とも関連し,有病率も高く,慢性疾患として長期管理を要する。
治療としてはCPAP療法などがあり,CPAP療法は一般的には重症例ほど有効であり,毎年なお3万人程度増加しており,本院では土曜日受診の有職者の患者数が多く,全体の3分の1を占める。また,以前にCPAPを導入した症例も,高齢になると,遠距離受診は困難となり,近医に紹介する場合も多い。口腔内装置などその他の治療法もあり,これらにより予後,QOL,症状などが改善しうると思われる。common diseaseであるが故に,専門施設のみでは限界があり,本特集が,SAS診療にかかわる医療関係者の増加に役立てば幸いである。
1 睡眠時無呼吸症候群の影響─人体および疾患への影響
巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学教授)
2 睡眠時無呼吸症候群の治療方針,CPAP治療─成果と問題点
陳 和夫(京都大学大学院医学研究科呼吸管理睡眠制御学講座特定教授)
3 CPAP以外の治療─口腔内装置,減量・生活指導,手術, 姿勢療法,その他の治療法
小賀 徹(川崎医科大学呼吸器内科学教室主任教授)