高齢化社会を迎えて慢性便秘症患者が増加してきている。また慢性便秘症患者は消化器科のみならず循環器,呼吸器さらには精神科や神経内科などあらゆる診療科で対峙しなければならない疾患である。いくら血圧の治療を厳格に行っていても便秘による排便時の努責は血圧上昇のリスクになったりするなど,各領域での便秘症の合併に加え,治療のアウトカムに直接影響を及ぼしかねない。
近年,当該分野の新規治療薬が登場し,エビデンスに基づいた診療の必要性が高まってきた。便秘治療のゴールは患者満足度であるが,我々医療従事者はどうすれば効率よく患者満足度を上げられるか=治療できるかが問われている。2017年,わが国初の慢性便秘症ガイドラインも発刊された。この機会に,日常診療でいかにして便秘症患者を診るかを再度考えて頂ければ幸いである。
1慢性便秘症の疫学と診断
千葉俊美(岩手医科大学口腔医学講座関連医学分野教授)
2慢性便秘症の治療(新薬も含む)
中島 淳(横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授)
3治療に難渋する便秘(症候性便秘,難治性便秘)の考え方
黒水丈次(松島病院大腸肛門病センター院長)
松島 誠(松島病院大腸肛門病センター総院長)