成人の発達障害について,職域(産業保健)においても関心が高まっている。しかしながら,それが当該労働者への適切な対応には必ずしもつながっていないのが現状であろう。発達障害に関する理解不足から,「困った社員」の扱いを続けている職場はまだ少なくない。他方,仕事の効率の悪さ,コミュニケーションの取りづらさに対して,安易に「発達系」などとレッテルを貼り,本人の能力開発向上に向けた支援を怠っている職場も増えているように思われる。
本特集が,産業保健活動に関与されている読者の参考になれば幸いである。
1 就労年齢における発達障害の特徴
岩波 明(昭和大学医学部精神医学講座教授)
横井英樹(昭和大学附属烏山病院)
五十嵐美紀(昭和大学附属烏山病院)
2 職場でみられる発達障害を有する労働者とその対応
永田昌子(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
永田智久(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学研究室講師)
3 発達障害者の就労支援の現状と課題
梅永雄二(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)