診療報酬改定等によりしばしばマスコミに登場する中央社会保険医療協議会(中医協)の名を聞くことはあるかと思いますが、地方社会保険医療協議会(地医協)をご存じの方は極めて少数でしょう。この会は、医療者側以外に、健康保険組合等の支払い側と公益を代表する側の3者により、保険医療機関の指定および保険医の登録の取消、すなわち行政側である厚生労働省(厚生局)側が行った監査の結果について協議をする会です。
この会では、医療者側に対して非常に厳しい意見が出されます。医療者側は自らの思惑で話を進めますが、それに対する支払い側の意見は厳しく、公益代表側の意見がさらに厳しい場合も少なくありません。そこでは、医療者側の甘えとも思われるような意見は否定されます。
初めて参加した時には彼らの厳しい批判に驚きました。一般の医療者はこのような厳しい状況下で日常診療をし、診療報酬を請求していることを理解しているのだろうか、いやきっと理解していないのだろう、少なくとも私は理解していなかった、と自戒しました。
拙著『元指導医療官が指南 保険医のための保険診療講座』(日本医事新報社)でも地医協について詳述しています。それは、より多くの医療関係者に、私達はこのような厳しい状況下で診療をしているのだから、「知らなかった」等の甘えは許されず、保険医療機関は保険医療機関として、保険医は保険医として当然知らなければならないことを知り、なさねばならないことをなさねばならい、ということを知っていただきたいからでした。拙著は、少しはお役に立てたのでしょうか。
診療内容あるいは診療報酬請求に問題があって返還金を支払うことは医療機関にとっては不快なことですが、行政側も面倒な手続きを行わなければならず、決して歓迎すべき事柄ではないのです。保険診療を適切に行うことは、今後も増え続けるであろう我が国の社会保障費をより適切に管理、運営することにも繋がり、極めて重要な問題です。
工藤弘志(順心病院サイバーナイフセンターセンター長)[保険診療雑感⑫]
過去記事の閲覧には有料会員登録(定期購読申し込み)が必要です。
Webコンテンツサービスについて
過去記事はログインした状態でないとご利用いただけません ➡ ログイン画面へ
有料会員として定期購読したい➡ 定期購読申し込み画面へ
本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい ➡ コンテンツ一覧へ