2025年2月7日、都内で全国自治体病院協議会(全自病協)と自治体病院共済会の共催で、地方議会議員向けセミナー「アフターコロナの自治体病院〜人口減少時代にどう対応するか」が開催された。筆者は第1部で講師を努めた。
なぜ、地方議会議員向けの病院経営セミナーが開催されたのか。筆者の研究している自治体病院の特徴は、地方自治体の経営する病院であり、基本的に素人の首長や議員が病院経営に関与する。事務職員も病院経営を知らない素人が異動によって仕事をすることも多い(最近は長期間病院に勤務させて専門性を高めさせている病院も多くなっているが)。このような状況で、刻々と変化する医療体制や診療報酬制度に対応していくには厳しい面もあり、民間病院の皆さんから、経営の甘さを指摘されるのは仕方がないと感じるときもある。
マスコミやネットなどで批判されることの多い地方議会議員であるが、勉強熱心な方も少なくない。自治体病院の正しい経営判断がなされるためには、地方議会議員が正しい知識を持って議会で発言することが大切だ。実際、しっかり勉強して、不勉強で動きの悪い首長や事務職員に正しいプレッシャーを与えて経営改善を行わせた事例や、思い込みから間違った判断を行う首長や行政にブレーキをかけさせた事例も存在する。
今回のセミナーは、地方議会議員の皆さんにしっかりと自治体病院や病院経営について学んでもらうことを目的として開催された。
第2部では、望月泉全自病協会長を座長に、小熊豊自治体病院共済会社長、野村幸博全自病協副会長と筆者がメンバーになり、会場の地方議会議員の皆さんと意見交換会が行われた。全国の地方議会議員の皆さんの自治体病院に関する素朴な疑問に対し、望月会長や筆者などがざっくばらんに答えるというもので、参加者の積極的な質問が相次いだ。
これからわが国は、世界に例を見ない本格的な少子高齢社会に突入する。激増する高齢者に対し、急減する生産年齢人口により労働力は大幅に不足する。医療・介護の世界も深刻な人手不足に直面する。危機に対応していくためには、人頼みではなく地域が主体的に行動していくことが求められる。地方議会議員も地域の重要な意思決定者の1人として、しっかり勉強し、行動していくことを期待したい。
伊関友伸(城西大学経営学部マネジメント総合学科教授)[自治体病院][経営マネジメント]
過去記事の閲覧には有料会員登録(定期購読申し込み)が必要です。
Webコンテンツサービスについて
過去記事はログインした状態でないとご利用いただけません ➡ ログイン画面へ
有料会員として定期購読したい➡ 定期購読申し込み画面へ
本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい ➡ コンテンツ一覧へ