わが国では、賃貸住宅の契約や就職など、様々な場面で身元保証人を求められることがある。医療・介護の現場においても、入院・入所時に身元保証人を求めることはあるが、2018年4月、厚生労働省は各都道府県衛生主管部(局)長に向けて「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」を通知した。身元保証人等がいないことのみを理由として患者の入院を拒否することは、医師法に抵触するとの解釈を示した。
しかし、2023年8月の東京都医療ソーシャルワーカー協会「身元保証に関するアンケート調査報告書」によると、「入院・入所・契約の希望者が身元保証人等を用意できない場合の対応について」という問いに対して、「身寄りがないまま入院・入所・契約を可能としている(可能だった)」と回答したのは70%であった。一方、「入院・入所・契約をお断りしている(断られた)」と回答したのは24%であったという結果から、少なからず身元保証人がいない・身寄りがない方が、希望通りの治療・ケアを受けることができていないという現状がわかる。
入院・入所・契約をお断りする(お断りされた)理由として、「支払、金銭管理が難しい」「退所先の確保や入院支援などが難しい」「入退院時に必要な手続き(介護サービス利用、施設入所)等の代行が必要」などが挙げられている。
今後、身寄りのない高齢者が増加していく中で、病院の経営的な観点からも身寄りの有無に関係なく、安心した医療・ケアを提供する体制づくりが求めれるであろう。そのような背景から、家族の役割を果たす機能が求められ、これを代替する形で高齢者等終身サポート事業の需要が近年増している。
高齢者等終身サポート事業のサービス内容については、前稿に記載の通りである。
高齢者等終身サポート事業には、家族と疎遠な単身高齢者や身寄りのない高齢者などから、「担当医から入院して手術をする上で、入院するまでに連帯保証人を探して下さいと言われましたが、どうしたらよいでしょうか」「自分が万が一亡くなったら、だれが身柄の引き取りをしてくれますか」といった相談が多い。
次稿は、具体的な事例を通して、高齢者等終身サポート事業における身元保証等サービスの支援について紹介する。
岡江晃児(一般社団法人愛の会主任ソーシャルワーカー、社会福祉士)[高齢者等終身サポート事業][ソーシャルワーカー]
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