株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

松村真司

登録日:
2022-01-13
最終更新日:
2025-08-05
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  • 「かかりつけ医、かかりつけ医機能の正式な英語表記は?」

    2025年4月より、『かかりつけ医機能報告制度』が開始された。制度の全体像については、いまだ不明瞭な部分が多いものの、2026年1月に予定される第1回の報告に向けた準備は進んでいる。また、2024年に公表された2040年を見据えた『新たな地域医療構想』においても、「地域の実情を踏まえ課題への対応を検討・協議して、地域において必要なかかりつけ医機能の確保・強化等、必要な外来医療・在宅医療の提供のための取組を行う」と明記されており、今後は本制度を基盤とした政策展開が想定される。まずは、2026年度に行われる診療報酬改定の議論における「かかりつけ医機能」の位置づけが注目されるところである。

    本制度は、わが国のすべての医療機関を対象とする包括的な取り組みであり、その結果は今後の医療提供体制の方向性に大きな影響を及ぼすと思われる。世界でも先がけて超高齢社会に突入したわが国が、この制度を通じてどのような知見を得て、構造的変化を生み出すことができるのか。その成果は、国際的にも大きな注目を集めるはずである。

    一方で、「かかりつけ医」および「かかりつけ医機能」について、筆者が確認した限りでは、関係団体から発出された正式な英語表記は現時点では存在しない。過去にさかのぼれば、2018年に当時の横倉義武日本医師会長が「Kakaritsuke physician」「Kakaritsuke physician function」と表現した例がある。また、2023年11月に開催された国際会議においても、松本吉郎日本医師会長の基調講演で同様の表記が用いられている。

    もちろん、これらの用語は日本独自の概念であり、「Kakaritsuke physician」や「Kakaritsuke physician function」が、そのまま正式表記として用いられる可能性もある。しかし、国際的に通用しうるか、あるいは、より明快な英語表記が望ましいかについては、議論の余地がある。

    実際、今後は慢性疾患を有する高齢者など、継続的な診療を必要とする患者に対し、かかりつけ医機能に関する文書による説明の努力義務が課される予定である。だとすれば、通院中の非日本語話者にとって、明快な英語表記の整備は不可欠である。仮に、既に正式な英語表記が存在するのであれば、速やかに周知して頂きたいところである。

    松村真司(松村医院院長)[かかりつけ医][かかりつけ医機能

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