2023(令和5)年1月27日、厚生科学審議会感染症部会の議論を踏まえ、5月8日から新型コロナウイルス感染症を5類感染症に位置づける、との発表がなされた。
これにより感染症の取り扱いが大きく変わる。医療現場に特に影響が出るのが、①患者等への対応、②医療体制─である。ここでは主に「医療体制」に焦点を置き、私見も含めた今後のwith コロナ医療についてまとめてみたい。
【医療体制はどう変化するか?】
外来では、より幅広い医療機関で新型コロナ感染症患者が受診できる体制へと段階的に移行する準備が必要になる。入院についても入院措置・勧告が適用されないことになるため、多くの医療機関が入院患者を受け入れ、入院調整も行政が関与するものから個々の医療機関同士で調整する体制へと段階的に移行していくことになろう。
これらの医療体制の変化により「医療逼迫」の軽減が期待される一方、懸念要素も多くある。例えば、外来・入院を問わず、新たに患者を受け入れる医療機関は今まで経験してこなかった感染対策が求められ、対策が不十分な場合には、最終的に患者の受け入れができない場合が出てくるなどの懸念。さらに発熱外来標榜医療機関で、主にPCR等の検査により新型コロナ感染の有無の診断を中心に行ってきた医療機関が、疾病の診断・治療などの医療を行うことを求められることで、むしろ発熱患者の対応から手を引く可能性の懸念などである。
【患者から何を求められるか?】
類型を見直しても新型コロナウイルスの性質・病態などが変わるものではないため、医療機関の患者受け入れ体制は大きく変えられないと予想される。むしろ患者側からは、感染症患者とそうでない患者を同じ空間・時間帯で待機・診察する体制への警戒感や嫌悪感は、以前と比べてかなり強いであろう。必要となる感染対策や準備を講じつつ、受診希望者の安心を確保するような体制整備と準備が必須となろう。
【新型コロナ以外の疾病への配慮は?】
ここ3年、新型コロナ、一部インフルエンザにのみに着目した医療が当たり前になった。しかし当然のことながらこれらの疾患は、患者の心身に影響を与える疾病の一部に過ぎない。
コロナであるかないかではなく、患者の苦痛や心理的困難さに寄り添う医療体制の再構築と、体制を保持するための財政的・政策的支援が強く求められよう。
峯 眞人(さいたま市岩槻区・医療法人自然堂峯小児科院長)[新型コロナウイルス感染症]
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