医師による往診や訪問診療のエリアは半径16km以内と定められていることは皆さんもご承知のことと思いますが、訪問看護には定められている距離はないようです。
インターネットで検索すると、どこの訪問看護ステーションも3km、5km、そして最長でも10kmと紹介されており、当ステーションのように半径30kmエリアに患者さんがいる地域はありませんでした。
しかも当地は、夏は暑く冬は寒く、道路事情も良くないし、携帯電話がつながらない地域もまだまだあります。先日、ガードレールのない幅3mくらいの雪道で脱輪したのですが、思わず携帯電話をみて圏外でないことに安堵して助けを呼びました。
こんな場所に人が住んでいるのかと思うところに家があり、ここで生活しているのかと思う家に一家団らんがあったりします。
我々のような、たまの訪問者が不便だと思っても、住民にとっては大切な居場所なのだと感心させられます。
悪天候の中、近くに訪問介護事業所もない地域にお邪魔して、入浴介助をしたり、着替えたり、時に食事介助をする場合もあります。
冷暖房設備が無かったり、雨が降らないと水が出なくなる地域もあります。
それでも寒い日にお邪魔するとストーブの上でアルミホイルに包んだサツマイモを焼いてくれてたり、「今日は誕生日だから一緒に祝って」とケーキを用意して待っていてくれたりすると疲れも吹っ飛びます。
こんな地域ですが、昨年は2人の30代の看護師が入職してくれました。そして、この仕事がとても楽しくて毎日が勉強になることばかりと言ってくれています。
そんな若い看護師がどんどん増えて地域を明るくしてほしいと思います。
患者さんやご家族の生活を支えて、持っている知識や技術を最大限に発揮し、時には生活の中に溶け込んで喜怒哀楽をともにできる訪問看護と言う職業は私にとって天職です。
これからもその素晴らしさを伝えていきたいと思います。
中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[訪問看護]
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