いよいよ12月からマイナ保険証を基本とする仕組みに移行した。訪問診療でもスマートフォンで対応できるという話を聞いていたが、まだ対応していなかったので直前になってようやく重い腰を上げることにした。
調べてみると、しばらく前から「マイナ在宅受付Web」を利用することで訪問診療等のオンライン資格確認が利用可能になっているとのこと。しかしこれは、「4桁の暗証番号」でしか本人確認をすることができず、認知症を含めた高齢者の訪問診療では少し使いにくい印象だ。
一方、10月から利用開始された「マイナ資格確認アプリ」では本人確認方法として「目視確認」も追加されており、対応デバイスも、スマートフォンに加えてWindowsのノートPCやiPadなどのタブレットも利用できる(カードリーダーが必要)とのことである。そこで「マイナ資格確認アプリ」を設定してみることにして、まずはiPhoneにアプリをダウンロードしてみた。
ダウンロードは簡単だが、設定が少し大変そうなので、改めて医師会から通知された資料を読んでみると、マイナ資格確認アプリ利用開始申請の手順が書いてあり、「特定健診・特定保健指導機関届(保険医療機関)」を添付し申請しなければならないようだ。健診を行っていない訪問診療専門の医療機関などはどうするのだろう? と心配しつつも、この方法では手間も時間もかかりそうなので、別の方法で対応することにした。
簡単に述べると自院のオンライン資格確認等システムに管理者としてログインし、マイナ資格確認アプリを利用するためのユーザーID、パスワードを設定、アクティベーションコードを発行し、利用端末に入力すればよいようだ。とはいえ、自院のオンライン資格確認システムのユーザーID、パスワードの確認からはじまり、設定ミスなどもあったため、思った以上に設定には時間がかかった。PC操作に不慣れな人は前者の方法のほうがよいのかもしれない。
やっと設定が終わり、自分のマイナンバーカードを読ませてみると、電子証明書の有効期限が切れているとの表示が……。先月の誕生日までだった更新を忘れていたことを思い出して残念な気持ちになったが、実際にはこのような患者さんも少なからずいるだろう。そのときはどのように対応するのだろうと考えていたら、厚生労働省から「訪問診療等におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)の導入について」のお知らせメールが届いた。補助金も出るようなので対応したいが、モバイル端末で資格確認をした後の対応などもあり、まだまだやることが多そうだ。
DXは安定稼働すれば便利だが、それまでが何かと大変である。とはいえ、このアプリは発熱外来や非常時にも使えると思われるので、訪問診療実施医療機関以外でも導入を検討してみてもよいだろう。
土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[マイナ保険証][訪問診療]
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