相手の話をどのように聞くのがよいだろうか? 10のアイデアを紹介する。
自分の声を自分自身で聞くことで初めて自分の考えを知ることがある。話している間に別の考えを思いついたり、話したくなったりすることもある。聞き手は、話し手が話したいことを話せているかを気にしながら聞く。
相手の言葉にどう返せばよいか迷うこともあるだろう。たとえば、「どうして生きなければならないか?」といった答えのない問い。会話は、言葉そのものの意味よりも、関係性に焦点をあてることが大切な場合がある。なぜその人が自分にその話をしたかったのか。
聞き手の立場や力が強いと、話し手は言いにくくなる。たとえば、話すことで成績や処遇が決まるのならばなおさらだ。話を聞くときには、できるだけ対等の関係をつくる工夫が必要になってくる。
赤ん坊が泣くと、大人は抱きしめたりミルクをあげたりしてそれに応える。大人の応答を受けて赤ん坊は泣き止む。発話者は応答を期待している。赤ん坊が泣き止むのもまた、大人への応答だ。「応答がないことほど怖いことはない」という言葉もある。
相手の世界に純粋な関心を持って耳を傾ける。その人が何を見て、どんなことを感じているのか、その世界に入り込む。相手の世界がよく見えたとき、初めて対話ができる。
たとえば「眠れない」と相談があった場合。眠剤がほしい、診断してほしい、眠れないほどつらいことがあって話を聞いてほしい、など意味合いは様々だ。話し手と聞き手の間で言葉の意味の確認ができると助けになる。
話されたことは話したかったことのほんの一部。言葉と気持ちが一致することは難しい。発せられた言葉がすべてではないから、その一部を手がかりに相手の思いを聞いていく。
途中で話を遮られることは、話したことにならない。ひとまとまりだからだ。
他者とは、常に自分の想像を超えた存在だ。理解しきることはできない。だからこそ理解しようとして聞く。
「話してみてどうだったか?」と尋ね、その応答が聞かれることで、次の会話につながることがある。これは試してみてほしい。
森川すいめい(NPO法人TENOHASI理事)[精神科]
過去記事の閲覧には有料会員登録(定期購読申し込み)が必要です。
Webコンテンツサービスについて
過去記事はログインした状態でないとご利用いただけません ➡ ログイン画面へ
有料会員として定期購読したい➡ 定期購読申し込み画面へ
本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい ➡ コンテンツ一覧へ